ユメコーダー

将来の夢を映像化することができる道具、それがユメコーダーです。人に向けて使うと、その人が頭で描いている将来の夢や思い描いている未来の姿が映像として映し出されます。眠っている間に見る夢ではなく、起きている状態で心に抱いている希望や願いを可視化するという点がユニークな道具です。

しずかちゃんの未来の旦那さんはだれ?

しずかちゃんは将来だれと結婚するのか。のびたとスネ夫は旦那さんのポジションを争います。ドラえもんが取り出したのはユメコーダー。これを使ってしずかちゃんの将来の夢をこっそり覗いてしまおうというわけです。

ユメコーダー
おもわれニキビ

出典:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄「ドラえもんプラス5巻「ユメコーダー」P14:小学館

ところが記録された将来の旦那さんは顔が映っておらず、しずかちゃんはまだ結婚に対して真剣に考えていない準備段階ということがわかります。のびたはよりいっそう自分磨きをする必要があるのです。しずかちゃんの夢がまだ曖昧な状態だということは、まだ誰にでもチャンスがある段階とも言えるでしょう。のびたにとっては絶好の機会かもしれません。

ユメコーダー
旦那さん像は不明

出典:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄「ドラえもんプラス5巻「ユメコーダー」P20:小学館

のびたはより一層自分磨きをする必要があるのです。しずかちゃんの夢に相応しい人物になるためには、どんな努力が必要なのかを自分で考えて行動に移すことが大切です。道具で未来を知ることはできても、その未来を変えるのは自分自身の行動にかかっています。

あなたの夢を映像化します

ユメコーダーを人に向けると、その人が頭で考えている将来の夢が映像化されます。夢なので何を思い描いても自由なのですが、他人に覗き見られてしまうのはあまりいい気分ではありませんよね。

夢の内容は本人が意識していなかった深層心理に近いものが映し出される可能性もあり、本人ですら知らなかった願望や不安が映像として現れることもあるかもしれません。自分では気づいていなかった本音が映像として現れてしまうとしたら、使われる側にとっては相当プライバシーに踏み込まれた感覚になるはずです。

将来の夢を映し出すという点では、ゆめふうりんが見ている夢に働きかけたり、気ままに夢見る機で好きな夢を設定したりする道具と似た方向性を持っています。しかしユメコーダーが映し出すのは眠っている間の夢ではなく、起きている状態で心に抱いている将来像だという点が異なります。それだけにより現実に近い、その人の本心が反映されたものになるでしょう。

また、映像として残ることで、後から見返したり他の人と共有したりできるという側面もあります。自分の夢を記録しておいて定期的に見直すことで、夢の変化や成長を追うことができるかもしれません。

のびたの将来の夢

のびたの夢は、しずかちゃんと結婚して小さな家で朝から晩まで笑って過ごすこと。

ユメコーダー
そう言ってられなくなる日は来る

出典:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄「ドラえもんプラス5巻「ユメコーダー」P18:小学館

お金なんてなくても愛さえあれば、と力説するのびたですが、まだ子どもだからこういう夢を持つのも無理はありません。しかしのびたくんよ、財力が全てではないけれど、全てに財力は多大なる影響を与えるものなのですよね。

とはいえ、のびたの夢がしずかちゃんとの幸せな生活という具体的なイメージで満たされているのは、それだけ彼女への思いが真剣であることの証拠でもあります。漠然とした豊かさや地位への憧れではなく、大切な人と笑って過ごすという素朴な幸福を夢見るのびたの姿は、子どもらしくも純粋なものです。

夢の内容を映像化できる道具としてはゆめたしかめ機ドリームプレーヤーもありますが、これらは眠っている間の夢を対象にしているのが特徴です。ユメコーダーは起きている状態の希望や憧れをそのまま映像にするという点で、より直接的に人の内面に触れる道具と言えます。

人の夢を見て自分の夢をブラッシュアップ

将来の夢はなに?と聞かれてもなかなか具体的に述べられないのではないでしょうか。そんな時はユメコーダーで色々な人の夢を見て参考にし、こんな未来がいいなとどんどんブラッシュアップするのもいいですね。

夢なのでどんなことを思い描いてもいいですし、夢が原動力になって日々の活力が生まれてくることもあるでしょう。ゆめグラスのように夢の世界に飛び込んだり、シネラマンのように映像体験を拡大したりする道具と組み合わせれば、自分の将来像をより鮮明に描くことができるかもしれません。

プライバシーに土足で踏み込むような行動は論外ですが、参考程度に見せてもらいましょう。

夢を持つことの大切さは、ドラえもんの物語全体を通じて伝えられているテーマのひとつです。のびたがしずかちゃんとの将来を夢見て行動するシーンは作中にいくつも登場しますが、そのモチベーションの源泉にあるのはこうした具体的な将来像です。ユメコーダーはその将来像を映像として外に出すことで、自分や他人が共有できる形にする道具とも言えます。夢を誰かと共有することで、その実現に向けて一緒に考えたり応援し合ったりする関係が生まれるかもしれません。夢は心の中にしまっておくものという考え方もありますが、時には言葉や映像にして誰かと分かち合うことで、夢はより確かなものになっていきます。

将来の夢というテーマをユメコーダーという道具で可視化するという発想は、夢を持つことの大切さを改めて問いかけているようにも感じられます。自分では漠然とした願いだと思っていたものが映像として明確に映し出されたとき、その夢の実現に向けて何をすべきかが具体的に見えてくることもあるでしょう。目標を言語化することで行動が変わるという効果は心理学的にも知られていますが、ユメコーダーはそれを映像という形でより感覚的に捉えさせてくれる道具です。夢を映像として記録して繰り返し見ることで、その夢への意欲が維持されるという使い方も考えられます。のびたとスネ夫が旦那さんのポジションを争ったように、夢は時に競争の原動力にもなります。大切なのは夢を持ち続けて、その夢に近づくための努力を重ねることです。

ユメコーダーが映し出す将来の夢は、その時点でのその人の本音を反映しています。つまり、同じ人でも時間が経つにつれて夢の中身が変わることもあるはずです。子どもの頃の夢と大人になってからの夢が違うのは当然のことで、それ自体は成長の証でもあります。のびたが小学生の今描いている夢と、大人になった時に見る夢がどのように変化しているか、ユメコーダーで定点観測のように記録し続けるというのも面白い使い方かもしれません。夢の変化を追うことで、自分の成長や価値観の変遷を映像で振り返ることができます。それは単なる記録以上の意味を持つ、かけがえない人生の記録になるでしょう。

ユメコーダーが収録されているドラえもんプラス5巻のエピソードは、のびたとスネ夫がしずかちゃんの未来の旦那さんをめぐって争う、恋愛的な面白さがある回です。ドラえもんコミックの中で、のびたのしずかちゃんへの想いがテーマになる話は数多くありますが、ユメコーダーを使った回はひみつ道具で相手の内面を覗いてしまおうとするという点で、一種の恋の駆け引きの物語になっています。しずかちゃんの夢に旦那さんの顔が映っていなかったという結末は、まだ未来は決まっていないというメッセージとも読めます。のびたにとっては絶望的な状況ではなく、逆に可能性が残されていることを示す場面でもあるのです。ドラえもんの物語が大切にしている努力すれば未来は変えられるというテーマが、このエピソードにも静かに込められています。

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